スケッチ日記

 8月も終わり、いよいよ9月。
 今年は例年になく暑さが厳しかったようです。
 先日、暑さの中でスケッチに行こうということになりました。
 シニアの方が中心ですが、スケッチというと年齢に関係なくどこにでも出かける人たちの集まりです。
 目的地は久留米市草野町矢作地区です。
 数年前に行った人たちが「あそこは良かった」というひとことで二台の車に分乗して行きました。
 付近は古い木造洋館の病院を利用した施設や生垣のある農家などなつかしい風景でした。
 残念だったのは期待していた矢作地区で、数年前には建っていた家が取り壊されてなくなっていたり、建て替えられた家が新しすぎたりで、絵になりにくかったことでした。
 それでもせっかく来たのだからとスケッチポイントを探しながら描きました。
 構図のアングルを優先させると道の中央になったり、川の中になったり、しかも日陰がないといった悪条件でしたが、それらをものともせずに川に入って描いてる人もありました。
 私もわずかな木陰に身を寄せて描いていたのですが、またたく間に陰は逃げて行き、夏の陽の下で描く破目になりました。

 能古うどんを食べると身体も少し温まり、店の外に出ると目の前にスケッチしたくなるような町家作りの風景がありました。
 「よし、高い入場料を払ったし、描いていこう」ということで、三人が残りました。
 私はうどん屋からスロープを少し下った向かいの店のそばで描きました。
 店先に丁度いいバンコがあったけど、「何も買わずに使うのは悪いかな」と思い、それは使わずに折りたたみ椅子を立てて描くことにしました。
 時々、後ろの店で焼き物か人形の絵付けをやっているらしく、楽しんでいる高校生の歓声がうるさかったけど、絵に集中するとそれも気にならなくなりました。
 天気も少し持ち直し、やや逆光気味でしたが薄日もさしてきて遠くに見える桜の花と木々の新芽がやわらかな雰囲気を醸し出していました。
 最後に残ったのは二人になり、それぞれ二枚のスケッチを手に帰路につきました。