2010年04月

私が現在持っている作品の中で最も古い小学生の時に描いた絵を紹介します。
これは学校の勉強で描いたものではなく、自分で「描きたい」と思って描いたので、その時のことは今でも覚えています。


現在の志免中央小学校は私たちの頃は志免第一小学校といっていました。
学校の裏は粕屋町の酒殿までの間(現在の役場やイオンモールがあるところ)は家もなく、田んぼとレンコン濠でした。しかもところどころに陥落池があり、魚やザリガニがたくさんいて子どもたちの天国でした。
  夏休みは毎日そこに来て魚獲りに明け暮れ、その日の成果を仲間と自慢し合いながら帰るのが夕暮れでした。振り返ると、片峰山と亀山炭鉱のボタ山を背景に、木々やワラ葺の家がシルエットになり、夕焼け空に映える様子が美しく、完成された絵のようでした。
ある日、「よし、あれを描こう」と思い立ち、その日は魚とりの網やバケツの代わりに絵の具を持っていつもの場所に行き、あぜ道で絵の具を出して準備をしました。
夕日はみるみるうちに落ちていくので時間との勝負、下描きはせずにいきなり絵の具で描きました。山の裾野はモヤでかすみ、川岸ののささやぶがくっきり見えるように工夫しました。
水田の稲が一面に緑のカーペットのようでしたし、山の形は実物通りに正確に描いたのを覚えています。
もちろん、その日の収穫は魚ではなく、夕日の絵でした。
手軽に写真を撮ることは殆どなかった昭和20年代の貴重な記録なのかもしれません。

(注)陥落池というのは炭鉱地帯にはよく見られた。地下に石炭を掘った坑道がたくさんあったので地盤沈下が起こり、そこに水がたまって出来た池。

2010年4月20日

リタイア後の楽しみのひとつは、好きな季節に海外スケッチに行くことです。
 そして朝から晩までスケッチに明け暮れるわけですが、時々息抜きにスケッチ場所の周りのものを見たり、マーケットや文具店をのぞいたりしていろいろな発見をします。
 オランダは平地が多く自転車道路も整備されているので、自転車が多いのですが、メーカー名は知らなくてもその殆どの変速機にshimanoと書かれているのに驚きます。
 南フランスのマーケットのスナック菓子コーナーには日本のグリコ・チョコポッキーそっくりのMIKADOというお菓子がありました。
手にとって見ると日本の江崎グリコのライセンスで作られたフランス製でした。
面白いのはネーミングで、フランス語の名前ではなく、いかにも日本的な名前を付けられていることでした。ネーミングの由来を調べてみるのも面白いでしょうし、そのうち、「ショウグン」などという商品が見つかるかもしれません。
 なお、この「ミカド」はベルギーやスペインでも見かけました。

 能古うどんを食べると身体も少し温まり、店の外に出ると目の前にスケッチしたくなるような町家作りの風景がありました。
 「よし、高い入場料を払ったし、描いていこう」ということで、三人が残りました。
 私はうどん屋からスロープを少し下った向かいの店のそばで描きました。
 店先に丁度いいバンコがあったけど、「何も買わずに使うのは悪いかな」と思い、それは使わずに折りたたみ椅子を立てて描くことにしました。
 時々、後ろの店で焼き物か人形の絵付けをやっているらしく、楽しんでいる高校生の歓声がうるさかったけど、絵に集中するとそれも気にならなくなりました。
 天気も少し持ち直し、やや逆光気味でしたが薄日もさしてきて遠くに見える桜の花と木々の新芽がやわらかな雰囲気を醸し出していました。
 最後に残ったのは二人になり、それぞれ二枚のスケッチを手に帰路につきました。