2010年11月

9月下旬、北部イタリアからスイスにかけてのスケッチに行きました。
 ここはイタリアから少しスイスに入ったところにあるソーリオという小さな村です。
 雪に輝くブレガリア山群に囲まれた谷間の台地に村がありました。
 家々は石と丸太で作られ、斜面で牧草を食べるヒツジやヤギの群れを見ていると、
「これはハイジの世界だ」と思ってしまいます。
 スケッチ専門のツアーなので、朝食が済むと夕食まで何もなく、ひたすらスケッチに浸ります。土産店もありませんし、訪れる人は観光というよりほとんどトレッキングのグループです。
 美しい空と雪を抱いた山、教会の塔に緑の草原など素晴らしい風景なのですが、私はもっぱら家々が重なる路地の風景に心を奪われてしまいました。
 私にとって素描スケッチは作品というより情報が詰まった資料なので、ほとんど色は付けずに描きます。
 この絵の場所は奥行きがあるので透視図法を無視できません。
とはいえ、それに捉われると面白みに欠ける製図のような作品になりがちです。
 スケッチは少しつじつまが合わないくらいのほうが親しみを感じます。
 このスケッチは鉛筆だけで描いていますが、2時間以上もかかりました。
 他の作品と共にHPギャラリーに載せましたので、ご覧いただければうれしいです。

 

 

 

 

 

 

 
 

 

 

このところ、食べ物のことばかりのようですが、ついでのもう一つ…。
5年前のこと、フランスに行った時,友人であるサンドリーヌさんのお宅を訪問しました。
家はパリ東部の郊外、ヴァンセーヌの森の先のサン・モールというところにあるのですが、父親のアランさんがオペラ・ガルニエまで車で迎えに来てくれることになりました。
娘のサンドリーヌさんがいないので英語で話せず、車の中の会話も指先と固有名詞だけ(笑)。なかなかコミュニケーションが取れません。
途中でケーキ屋さんに寄り、そこでケーキを買って帰ることがわかりました。
店はケーキだけでなくコーヒーカップなども売っていてそれらを見るのも楽しめました。
ケーキを買い終わり、アランさんは車の中に、その時店を出ようとした私の目に飛び込んできたのが上の写真にあるものでした。
私が「これは?」と聞いたら、店の奥さんはにっこり笑って指を下に向け、親指と人差し指を合わせて左右に振りました。
丸い球の付いた棒の先の氷砂糖があまりにも可愛いので、あわててそれを買い込みバッグにしまいこんだまま車に乗り込みました。
帰国後、それを取り出し、ラベルについているイラストと、ケーキ屋さんのジェスチュアを思い出しながらコーヒーを飲む時に使っています。
でも氷砂糖の結晶が美しくよく出来ているので、まだ数本残しています。
旅の思い出は帰国後も、こうして続くのは楽しいものです。

後日、フランスに詳しいよしながさんに、それは「シュガースティック」だと教えていただきました。