小学校高学年の図工科で、以前ペーパーナイフなどを作る木彫の学習がありました。
30センチ余りの桂の板を使い一つの作品を作り上げるわけですが、板を無駄なく使うデザインを考え、電動糸鋸で形を切り、切り出しナイフで削り、彫刻刀で彫り、紙やすりで磨き、ステインで着色してワックス仕上げをするという、多くの材料と技術を経験しながら作ります。
こう書くとただ坦々とした決められた作業みたいですが、それぞれの過程で苦労やスリルがあり、最後に木彫ワックスを塗って磨く時の嬉しそうな子どもたちの顔がたまらなくいいのです。
苦労の最初はデザインから始まります。細長い板の形に合う自分オリジナルで美しいデザインを考えなければいけないのです。
子どもたちのアイディアを生かした指導は根気もいりますが、みんな頑張ってその苦労が次第にほほえましい作品に表れてくるという、本当によく出来た題材でした。
残念ながら現在の教科書には載っていませんが在職中、私はよくこの題材を使いました。
卒業生の方の中に今でも持っている人がいるかなあと思っています。
私も授業用にそのつどサンプル作品を作りましたが、現在もまだ数本持っています。
写真をご覧いただきたいのですが、フォークはまだ若かったころの作品、下のペーパーナイフは15年ほど前だったと思います。
これらを見ると、子どもたちが黙々と作品に取り組んでいた当時の姿を思い出します。