2015年7月12日
ベルギーでのスケッチはブルージュで連泊し、ホテルはマルクト広場のすぐそばでした。
そんなわけで、広場周辺のカフェでランチやコーヒータイムを楽しみました。
ある時、仲間と一緒に夕食をということでイタリア風のカフェに入りました。
食事がすんで私はエスプレッソを頼みました。
すると、出てきたカップはいつも他の店で出てくるカップよりもスリムで縦長でした。
「珍しいね」、「欲しいね」ということで、会計を済ませたところで私はウェイターのお兄さんに、
「これが欲しい、いくらで買える?」と聞きました。
するとお兄さんは、「私は何も見てないよ」と反対側を見ながら、手は私たちの方に向けてカップを包んでしまいこむしぐさをしているのです。「ああ、そうなんだ」と言われるがままに包みました。
ちらりと私たちの方を見て安心したのか、にっこりとして、「ありがとう、さよなら」と日本語で言いました。こちらも「グラッツェ」と言って帰りました。
もちろん会計の時チップもあげたけれども、それ以上のおみやげでした。
よくドラマで、「私は何も見てないぞ」と言ってよそ見をしたり、「「ちょっと散歩に行ってくる」と言ってわざと見逃す人情場面がありますが、どこの国でも同じなんだねとみんなで話しながら帰りました。
今も自宅バルコニーのテーブルでエスプレッソを飲みながら、その時のことを思い出しています。